あまりに凄惨なエピソードの連続で、文字から目を背けたくなる。でも、深層を知りたくてページを捲る手が止まらない。『証言・北朝鮮帰国者』。帰国者たちの苦境は新聞報道や一部の本で知っていたけど、ここまでディテールと厚みのある物は読んだことがなかった。
帰国者が北朝鮮にたどり着いてまず驚くのが食事。到着後はしばらく「招待所」で過ごすが、全体にカビのような匂いが漂う上、食事の上にハエが飛び交い、とても食欲が出なかった」と。
ところが、先に帰国した人たちが招待所にやってきて、「食べないとこの先後悔するぞ。これからはこんなもの食べられない。それでも食べないのなら俺たちにくれ!」と、ほとんど手つかずの食事をガツガツ食べ始める。それを見て「そんなに腹を空かせる社会なのか」と絶望する。実際、その後の生活ではずっと食べ物に苦労することになる…。
こんな生々しい証言が次々と繰り出される一冊。新書で500ページ。ページ以上の重みがある。
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